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メタバースがエンタメ業界にもたらす新たな可能性とは

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昨今のメタバースブームによって大きく影響を受けている分野の一つがエンターテイメント業界で、かつてないほどの変革期の中にあるといっても過言ではありません。

仮想空間でのイベントや仮想空間でのアセット販売など、従来は無かった新たな選択肢がメタバースによって生まれ、これらは今や特段珍しいものではなくなりつつあります。

メタバースは従来のエンターテイメント業界をどう変えて、どんなメリットがもたらされるのか?当記事ではメタバースがエンターテイメント業界にもたらす可能性を解説します。

メタバースがエンタメ業界にもたらす新たな可能性とは

近年、エンターテイメント業界ではメタバースへ進出する事例が相次いでおり、YouTubeやニュースなどで見かけた方もいるかもしれません。

仮想世界という特質を活かして、従来の物理的な制約を超えた、デジタル空間での新たな体験や収益モデルを模索するための動きが模索されています。

下記で解説しますが、最近では映画会社やゲームスタジオが、自社のIPを活用してメタバース内でのイベントや体験を提供するなどの取り組みを行なっています。

メタバースが拓く新たなエンターテイメントの形

メタバースはAIやVR技術を駆使し、仮想空間でのイベントやコンサートを提供する新たなエンタメの舞台としての可能性に注目が集まっています。

渋谷区公認のバーチャル空間「バーチャル渋谷」が提供するバーチャルライブハウス「SHIBUYA UNDER SCRAMBLE powered by au 5G」
引用:https://time-space.kddi.com/au-kddi/20210428/3101.html

それと共に、NFTなどの仮想アセットの販売や広告収入など、メタバースを基盤にした収益モデルが広がりつつあり、エンターテインメント業界にとっては大きなビジネスチャンスになり得ます。

仮想空間でのライブ

メタバース空間でのエンターテイメントの筆頭として挙げられるのが、仮想空間内でのライブです。

現在ではバーチャル空間内でのライブ特化した知名度の高いプラットフォームも複数あり、下記に具体例をいくつか挙げてみます。

VARK

VARKは、スマートフォンやVRゴーグルを使って、仮想空間で様々な体験ができるアプリベースのサービスで、手軽さがウリのサービスです。

音楽ライブやイベント、雑談配信などの様々なジャンルに対応しており、VRからスマートフォンまで対応したユーザビリティの高さも長所として挙げられます。

VARKはVRで手軽に利用できるのも特徴で、筆者はMeta Questを用いてライブ試聴をしたことがありますが、2次元の画面で視聴するよりも立体的なVRで体験する方が臨場感が段違いです。

また、VARKは仮想空間内での交流も可能で、自分の分身となるアバターを作成して、他のユーザーとチャットしたり、一緒にゲームをしたりすることができます。

REALITY

個人がエンターテイナーとして仮想ライブを行うのであれば、より手軽に参入できるプラットフォームとしてREALITYが挙げられます。

REALITYは、スマートフォン1台があれば気軽に簡単なアバターを使ってライブ配信や視聴を楽しめるバーチャル配信アプリです。

引用:https://reality.app/

ログインの際にはアバターが必要ですが、簡単にアバターを作ることが可能で、コメントやギフトを通して視聴者とリアルタイムでのコミュニケーションが出来るなどの利点があります。

VARK利用者の中には著名なVtuberも数多くおり、過去には大空スバルや一伊那尓栖(にのまえいなにす)、がうる・ぐらなどが配信を行っています。

Wave

VARKは誰もが使える点が売りのサービスですが、一方のWaveはよりアーティストに特化したパフォーマンス用のプラットフォームです。

Waveではアーティストのライブパフォーマンスをリアルタイムで楽しめるので、まるで自分がライブ会場にいるような感覚で、臨場感あふれる体験ができます。

HTC ViveなどのハイエンドVRヘッドセットにも対応しているため、上記のお手軽なプラットフォームと比べるとより体験性の高いライブ体験が可能です。

Waveでバーチャルライブを開催したアーティストは大半が海外ですが、Justin Bieber、Calvin Harrisなどの世界的に有名なアーティストもいます。

新たな収益モデルの確立

現在存在するメタバースの大半が営利活動として成り立っており、ゆえに収益を得る手段が求められますが、メタバースでの収益モデルは従来のWeb上でのそれと比べて何が違うのでしょうか。

メタバースの収益モデルは、仮想アセットの販売や広告収入など、従来のWebベースのそれと基本的に同じ方法ですが、仮想空間内で実寸大の商品に触れられる、広告に存在感を持たせられるなどの点で大きく異なります。

仮想アセットの販売

メタバースでの仮想アセットには、NFTアイテムや仮想空間内で着用するアイテム、アート作品など様々なものがあります。

仮想空間をベースにして販売をすることで、ユーザーに3D環境でのインタラクティブな体験を提供でき、購買意欲を高められるというメリットがあります。

VRChatで行われている「バーチャルマーケット(VKet)」では、3Dのアバターやアイテムなどを3Dの実寸大で触れることができる。
引用元:https://virtual-market.prowly.com/199726-vket-announces-the-corporate-exhibitors-of-vket-2022-summer

また、仮想空間ではユーザーが自由に移動したり、他のユーザーと対話することが出来るため、商品やサービスのインタラクティブなデモンストレーションなどが可能になり、ユーザーの関心を引きやすくなります。

一方で、メタバースはまだ極めて新しい領域のため競合が激しく、マーケティングやブランド力向上には認知度の向上が欠かせないため、広告やブランディングをしっかりと行う必要があります。

広告による収益

メタバース内の仮想空間に広告を配置することで、ユーザーに直接広告を露出させます。例えば、ビルボードや看板、建物の壁面など、現実世界と同じ条件で広告を表示することができます。

特定のイベントや場所、アイテムなどをスポンサーが提供し、その代わりとしてブランドの広告を表示することで収益を得るという点においては、従来の広告をベースとした収益モデルと同じです。

「バーチャル渋谷」より。
引用元:https://mag.sendenkaigi.com/senden/202205/metaverse-and-marketing/023676.php

ですが、メタバース内ではユーザーはより没入感のある立体的な環境で過ごすため、YouTubeなどの広告よりもよりユーザーに自然かつ目立つ形で広告を提示することが可能です。

YouTubeやブログに表示される広告を不快に感じる方は多いと思いますが、メタバースでの広告表示はこうしたユーザーに与える不快感を減らすという点でも効果的だと言えます。

メタバースの可能性と課題について

メタバースは、エンターテイメント業界にとって様々な可能性を秘めていますが、新しい分野ゆえに課題もあり、例えば、プライバシーの漏出やセキュリティの問題などが挙げられます。

しかし、これらの課題が時間と共に解決されていくにつれ、メタバースはより持続可能なエンターテイメントの新しい切り口を拓くことができる可能性があります。

また、メタバースは新たなクリエイティブや経済活動の場としても注目されており、例えば、仮想空間内でのイベントやコンサートや展示会など、参加者は地理的な制約を超えて家にいながら共有体験を楽しむことが可能です。

さらに、仮想アセットの売買やクリエイター活動など、新たな経済機会が生まれることも期待されており、エンターテイメント業界だけでなく、様々な分野にポジティブな影響と利益をもたらす可能性があります。

結論

エンターテイメント業界がメタバースへ進出するにつれて、VR技術を活用したリアルタイムの仮想イベントやライブコンサートなど、収益を生み出す新たな形態のエンターテイメント事業が展開されると同時に、従来のWebベースよりも優れた収益モデルの可能性も見込まれています。

例えば、メタバース内での仮想アイテムの販売やよりユーザーフレンドリーな広告など、新たな収益源が開拓されつつあります。

同時に、ブランドやアーティストとのコラボレーションやスポンサーシップなども注目されており、企業とのパートナーシップによる新たな収益化の可能性も見込まれています。

さらに、メタバース内での広告技術の発展やメタバースの特性に応じたマーケティング戦略など、多角的な収益モデルの構築が進んでおり、これによってエンターテイメント業界はより多様化し、従来の枠がさらに広がることが期待されています。

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