メタバース

メタバースとフィクション(3)「VRおじさんの初恋」

メタバース

 「メタバース進化論」とセットで読みたい漫画。「メタバース進化論」と違って、こちらはフィクションです。読者を選ぶ漫画だと思います。

お砂糖の漫画

「メタバース進化論」を読んでからだとより楽しむ事ができます。是非セットで読んでみてください。つまるところ、メタバースを通して生まれたおじさんのお砂糖関係の物語です。

 タイトルからして出落ち感がありますが、ギャグ漫画ではありません。私のようなロスジェネおじさんの胸に刺さります。主要なキャラはみな美少女(アバター)ですが、読者のVRへの考え方(物理性別からの解放関連)次第でだいぶん複雑な気持ちを抱え続けながら読むことになります。

 内容はまったくタイトル通りです。ネタバレせずに語るのがすごく難しい漫画です。

環境等々

 最初に、この漫画どんなプラットフォームかな? と言うのが気になりますよね? 読み取れた特徴を列挙します。(誤解もあるかも・あとでまた書き換える可能性もあります)

 アクセスはどうもスマホからもできる。フレンドのログイン通知がある。ヘッドセットの利用が一般的。ボイスチェンジャーの利用が恐らく一般的。テキストチャットも快適。ワールドはかなり広大なものを作る事ができ、サービスの終了と言う概念がある(上げたらほったらかしと言う訳にはいかない?)。乗り物の概念があり、それを買って移動手段として使える。アバターの衣装はワールド内で購入できる。アカウントを休止するとアバターが放置される。アカウント管理がだいぶガバガバ(警告はされるが、容易に情報が抜ける)。訪問ログがワールド個々に管理されている? アカウント管理も繋がっている? 複雑な動きも対応するし、物理法則もかなり忠実に再現できる。

 アカウント管理はちょっと心配ですが、それ以外は理想的なプラットフォームですね。メタバースってこんな感じですよね。と言うところがきちんと再現されていて「あーわかるわかる」という、共感がわきます。

登場人物

 主な登場人物は3人です。みんなピュアでちょっと不器用な人々です。

主人公のおじさん

 40歳独身、派遣社員。剥げた小太りのおじさんです。女子中学生っぽい姿で、夜な夜なメタバースに入り、もうすぐ終わりを迎えるワールドを見届けようとしています。孤独なオタク族として青春を過ごしてきましたがメタバースの中で初恋をします。

主人公のお砂糖になるひと

 男性です。主人公のおじさんとお砂糖関係になります。天真爛漫で、しかも露出度が高くグラビアアイドルのようなアバターを使って主人公のおじさんに積極的に迫ってきます。

お砂糖のひとのリアル家族

 おじさんとお砂糖さんがリアルで会うときに一緒に居ることになり、その関係を知ることになります。

メタバースとリアルの関係を考える漫画

 おじさんとお砂糖の人はリアルでも会います。会ったときの関係性に不思議な納得感があります。メタバースはメタバースであり、リアルはリアルで所謂LGBTのような話にはなりません。ちょっとしたドギマギ感はあってもそこはそれ変にスキンシップをしたりはしない。

 20年以上前の話、オンラインゲームで知り合った人と何回か会いましたが、かみ合わないものを感じました。これは恐らく、バーチャルな世界とリアル世界は違っていて、そこで実現している自分(キャラ)とリアルの自分は全く違うと言うところから来ている気がします。文芸にまつわるオンラインコミュニティのオフ会は、(ほぼ)違和感なく会えたのですが、趣味の問題かな? とも思ったのですが「メタバース進化論」と「VRおじさんの初恋」を読んで、理解をしました。「バーチャル世界はなりたい自分になれれる」逆に言えば「別になりたい自分ではないもの同士で会って、うまく行くためにはちょっと高めのハードルがある」と言うことです。

「VRおじさんの初恋」はもちろん、リアルでも出会うのですから当然ながら二つの世界が混じり合って進行します。主要キャラの「お砂糖のひとのリアル家族」も、割とスッと事実を受け入れます。年齢も性別も超えた「内面」で繋がるのがメタバース時代の当たり前なんでしょう。ビジネス向けの話になると、どうしても「現実世界のシミュレーションとしてのメタバース」を中心に考えがちですが、やはり「新たな生活の場」としてのメタバースは別の切り口でその活用を考えるべきだろうと思います。

書いた人

Ike-Xです。Xはトランスフォーメーションを表します。未来プロジェクト推進室で、社会をトランスフォーメーションさせるための業務に携わっています。メタバースやWeb3で世の中がどう変わるのか? に興味があります。でも、まずは体験から。

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